先日、知り合いの訃報が届いた。
この頃ようやく持ち直してきたものの、デザフェスが終わってから慢性的に暗黒的な気持ちに落ち込んでいたときにちょうど重なった。
彼を知る人同士での集まりがあって、生前の話を聞くことができた。
彼は生前、こう言っていたという。
「私はこう思うしこう感じる、あなたはそう思うしそう感じる、人それぞれで世の中成り立ってて、だから世の中は回ると人は言うけど、それは間違っていて、そんなことだから戦争は終わらないし、人は永遠にわかり合えない」
どうして私とあなたは違うのか?
どうして優れるものと劣るものがあるのか?
どうして自分は自分でしかないのか?
という万人が抱えている共通の問題に、自分は自分なりに考えたりしていて、彼がそう考えていたのと同じように、自分もそのように仮定したことはあるんだけど、結局その辺をグルグル回って「みんな違う心を持っている」というところに軸を置いてしまっている。
彼は本気で世界を変えようとしていたらしい。
決して亡くなってしまった人が言っていたらしいことだから、という意味で特別に心に引っかかったわけではなくて、自己表現だとか美術にまつわる霊感のようなものにかまけている自分自身が、何かを表現しようとしておきながら、最終的にはどんなことを感じてもいいことになっている自分自身の心の中に逃げようとしていて「だってあなたと私はわかり合えないじゃないか」というところに魂を隠しているのではないかという、自分自身の背中を見たような気になって、ひどく戸惑ってしまった。
それからも懲りずに悶々とした日々を送り、何にも手が付かず、ゴミみたいな体たらくで部屋に引きこもって意識を消して何かをやり過ごすことしかできなかった。
とりあえず戻ってきたところといえば、写真を作ろうという相変わらずの結論になった。
頭の中はゴチャゴチャしているのだが、猫はいつも同じ顔をしている。